普通自動車運転免許をとるとき、まずマニュアル(MT)か、オートマ(AT)を選びます。
電気で走るEV以外の車に必ず搭載されているトランスミッション(変速機)を、「手動で操作」するのが「MT」自動操作するのが「AT」です。
MT(マニュアルトランスミッション)
AT(オートマチックトランスミッション)
AT免許は「限定免許」
普通免許のAT免許は「AT車に限って運転が許される」限定免許です。従来、限定無しのMT免許をとれば自動的にAT車も運転可能でしたが、2025年から、まずAT免許を取得してから「限定解除」する方式に変わり、MT免許の取得は難易度が上がったと言われています。
ATはペダルはアクセルとブレーキの2つしか無く、操作が簡単なので教習時間も少なく、教習料金もMTより5%ほど(約1.5万円)安く取れます。
MTでの変速操作にはクラッチペダルとシフトレバーでの操作が必要で、AT車に比べ難易度はかなり高くなります。まず発進の際クラッチ操作がスムーズでないと、急発進したりエンジンが止まったり(エンスト)します。MT車は両手両足をフルに使って運転する分、操作が面倒ではありますが、車を操る楽しみを味わえるため、乗用車ではスポーツグレードにも設定されます。
現在、多くの学生がATを選びますが、北海学園生では今も約3割の人が「MT」免許で取得しています。
AT限定免許で取得した人が、MT車を運転しようとしても、教わらなければ発進することすら出来ないでしょう。そのくらい運転操作が異なります。
BEV(バッテリーとモーターだけで走る純粋な電気自動車)やハイブリッド(モーターとエンジン両方ある)には、MT車はほぼ存在しません。
しかし、「近い将来はすべて電気自動車になる」という未来は、最近になって遠のいてきているようです。
2035年までにガソリン車を全廃するというEUの方針は、現実的に難しいことがわかり撤回されました。
2026年3月の国内で販売された車の内、BEVの比率は僅か3.1%。
モーターだけでなくエンジンも搭載したハイブリッド(PHEV・HEV)が最も多く半数以上を占めています。
一方で、ガソリン・ディーゼル車も43.7%が新しく販売されています。
MT車が多いのはどんな車?

個人の所有する「マイカー」市場では99%がAT車となっています。一方で「仕事」で使う車の方ではMT車が今も多く使われています。
スポーツ車の他、町でもよく見かける「軽トラ(軽自動車規格のトラック)」は、今も75%がMT車となっています。「軽トラ」は農家などにも多く、全国で広く利用されています。

また、トラックやダンプ、アルミバン、バスなどはMT車が未だに主流です。
現在、中型以上の免許では、MTで試験を受けなければなりません。(2028年度からAT限定の中型・大型免許が新設される見通しです)
また、運輸業界だけでなく、警察や消防、自衛隊や地方公務員の一部職種などMT免許が必須とされる業界もあります。
実際、内定先から「卒業前にAT限定解除してきて下さい」と言われ、大学4年の秋から慌てて教習所に通うハメになる人もいます。

イマドキMT免許なんか必要か?
自家用車しか運転しない主婦の人などであればAT限定で全然困らないでしょう。
1991年に「AT限定免許」が創設されて以降、一貫して女性は7割以上がAT限定免許を取得しています。
男性は限定なしの「マニュアル免許」が圧倒的でしたが、2020年に初めてAT比率が5割を超え、現在は7割がAT限定免許となっています。
これからはMT免許は保有者の少ない「希少価値」に。
「AT限定免許」創設前に取得した高齢者が徐々に退場していくこの先の時代は、MT車を動かせるスキルと資格を持った人が少なくなり、持っている人は「希少人材」となってゆくでしょう。
将来、MT車を運転しなければならない場面に遭遇することが「絶対無い」とは言えない。その時に価値を示せるかもしれません。
限定無しのMT免許をとっても、その後AT車に乗り続けていれば忘れてしまうでしょうが、基本操作を経験しているのとしていないのは大違いですから。
この先「知識」や「頭脳」だけでは、AIが普及する社会で自分の価値を確立するのは難しいのかもしれません。
様々な「スキル」を持っている事が、この先の社会では大切になるのでは?




